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the beaten track とは、踏み固められた道。つまりは何時も使っている道。それに off をつける事によって、何時もと違う道を往こう、何時もと違う事をやろう! という願いを秘め日々頑張ってる訳です。
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Posted by 甲子 - 2011.10.20 Thu 03:41:08



 いつ購入したのかも忘れたが、本屋で積まれている中で一際黒かった装丁に惹かれたのを覚えている。帯が通常よりも大きく、そこに僕がよく読む作家の伊坂氏やメタルギアソリッドで有名な小島氏の紹介があった。そして、謳い文句としての『現代における罪と罰』。

 メタルギアソリッドのノベライズ化も手掛けているだけあってか……いや、この人の世界観だな。その近未来のテクノロジーが非常に興味深く作者の事を調べた。残念な事に34歳か35歳の若さで2009年3月20日に癌で亡くなられていた。謹んで哀悼の意を表します。

 虐殺器官はアメリカの特殊な部隊の軍人であるクラヴィス・シェパードの一人称。そして、罪と罰を謳い文句にあげているだけあってか、主人公の内面や葛藤がよくよく描かれている。といっても、僕は罪と罰をしっかりとは読んだ事がなく、知識として少し知る程度なので、それとの比較については正直何も語れない。
 テロを防ぐために主人公達は軍の命令を遂行する。人を殺すという重さをテクノロジーを持って抑圧、人を殺すために様々なテクノロジーを駆使して任務を遂行。

 物理的な意味でも精神的な意味でもテクノロジーが駆使されている。しかして、そんな中でも葛藤は生まれる。如何にテクノロジーが発達しようとも人の精神や感情は制御しえる代物ではないと感じた。
 そして、虐殺器官。器官という言葉に最初疑問を抱いたが、読み進めていく中であぁそういう事か、と。こういった扱い方は好みだ。内面の葛藤を描いているだけあって、この器官が生きてくる。巧い作りだ。それがあってもおかしくない。というか、僕はそういったモノがあるように思う。
 意思でもって決定するのも何らかの情報があってのもの。まあ、厳密に言えば器官はそれとは別のベクトルに位置している代物だが。あー良い。凄く良い。こういったのは凄い好みだ。


 この作品を読んでる最中にこの作者の事を調べた訳だが、いろいろ考えさせられた。同時に、次作である『ハーモニー 』も現在読みはじめている。虐殺器官も病魔との闘いとは無縁ではないが、ハーモニーはほぼ病床の中で書かれた作品であるらしい。これも相まって考えに深みが増した。
 小説を書くのは空想を創り上げる事もあるが、自分を投影して創り上げる事もある。
 この伊藤氏の作品は伊藤氏がどういう状況にありながら書いた作品であるか、それを知るか知らないかでかなり違った重みを持つと僕は感じる。特にハーモニーはそれが顕著な気がする。

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Posted by 甲子 - 2011.08.20 Sat 05:44:56
 本作品は6編を収めた短編集。それぞれ独立しているが、伊坂節とも言えるどこかしらに関わりがあったりもする。
 死神が人の体を与えられて人間界に現れ、調査対象を調べる。調査対象は1週間後に死ぬとされている人間だが、死神が調査をした結果「見送り」の決定を下すと死なない。逆に「可」という決定を下すと死ぬ事になる。
 その死神の視点で物語は語られる。



 1:死神の精度
 表題作が第一編目。一種のミステリ。
 全作品を読み終えてから、精度とはこういう事かと思った。


 2:死神と藤田
 その筋の人達との関わり。普通の人から見れば普通じゃない世界を、さらに普通じゃない者が見る日常。


 3:吹雪に死神
 かまいたちの夜を連想させるミステリ。推理物と言いたいが、あくまでも死神視点である。


 4:恋愛で死神
 雨のはずなのに雨を感じさせない。雨どころかむしろ日向の香りを感じた。ただし、ビタースウィート。


 5:旅路を死神
 殺人を犯した者との奇妙な珍道中。春氏がいたのだという事を解説読んで知った。キャラが立ってるから何なのかとは思ったが……。


 6:死神対老女
 題名を老婆ではなく、老女としてるあたりが良いな。
 そして、まとめ。


 解説:伊坂幸太郎の「精度」について 沼野充義
 伊坂氏の作品を全て読まれているのかは判らないが、ある程度は読んでいて、かつ沼野氏自身の引き出しから出てきてる考察がとても良かった。


 伊坂幸太郎作品を読む率は割と高い。それだけ安心して読んでられる作品が多いという事だ。今作も秀逸。もうちょっと読んでたいなぁ~と思う位だった。
 いやはや美味でございました。

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Posted by 甲子 - 2011.08.18 Thu 05:43:28
 久方ぶりに森見氏の作品を読んだ。森見節は健在なりけり。やはり作風や文体が好きだ。

 ただ、今回のは読み終えるのがきつかった。

 作者のその時の状況等をモチーフにした作品のためか、日常というか現実を主軸にしている。四畳半や夜は短しの様な突飛な出来事が起こらず、話自体はたんたんと進む。当然だ、それが日常あるいは現実の流れというもの。だけども正直な所物足りなかった。
 フォーカスは表題である美女と竹林、特に竹林にあてられている。さらには竹だ。竹こそが全てだ。そして竹林は美女と等価である。だが、特に意味はない。


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Posted by 甲子 - 2011.06.04 Sat 16:41:34
 今年の二月、祖母の家に行った時に購入したはず。キロロで読み終えたのだが、感想がまだだったので記入。

 キロロに行ってる間に3月12日に映画もやる予定だったが、どうやら前日11日に東北大震災の影響で中止になったらしい。伊坂氏自身が仙台に住んでいるらしいし、小説の舞台も仙台……というか、伊坂氏の小説の舞台は仙台が多い。
 何というか縁があるというかなんというか。

 さて、本のあらすじ。

 場所は当然仙台。仙台だが、パラレルワールドみたいなもので少しばかり近未来的。
 情報ポッドというやり方状況にもよるが、携帯電話の盗聴や人の顔認識等が出来る物がある仙台。
 その仙台に時の首相が出身である仙台にやってくる。そのパレードの最中に首相がテロにあう。そのテロの犯人として主人公の青柳が指名手配される。ただの宅配ドライバーをしている一般市民である青柳。
 身に覚えの無い、行ったことも無い所で青柳に関する数多の目撃証言が出る。そんな中をひたすらに青柳が逃げ惑う。強大な陰謀を敵に青柳は──

 という感じ。
 小説の書き方は時系列に並べられてる訳ではない。基準を何処に持ってくるかによって変わるが、とりあえず青柳が逃げている時間を現代とする。そうするとテロの発生から何年後、何十年後を未来とし、青柳の学生時代等を過去とする。

 おおまかな体裁としては、プロローグとして現代から始まり、その後にテロ発生後の解決した未来から一般的に知られている事件の情報が提示される。幾つもの不可解な点。
 その後現代に戻り、青柳が動き始める事になる。三人称視点により青柳を良く知る人物もからも事件が描かれる。その現代にて登場人物達が過去の回想、それによりそれぞれの人物が掘り下げられている。

 感想としては。
 中盤まで読むのが辛かったが、その後の疾走感は爽快。終わり良ければ全て良し。
 こういった物を書く場合、如何に最初の事件概要を読ませるかに尽きるな。

              

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Posted by 甲子 - 2011.05.29 Sun 13:10:07
 一番好きな小説家は誰かと問われた時に乙一の名前を挙げると思う。奈須きのこも捨て難いのだが、何分奈須氏の小説は新しいのが全然出ない。ゲームすら出ない。どっぷりと浸かりたいのに……とまあ奈須氏は置いておこう。

 さて、タイトルの『百瀬、こっちを向いて。』。この作品の作者の事はほとんど知らなかった。が、どんな流れだったかは忘れたが、乙一氏が中田永一という別名で書いているものらしい。とりあえず文庫本を一冊購入して読んでみた。

 先に知ってしまったからか、しっかりと乙一作品であった。短編が幾つか入っていてそれぞれ独立している。
 いやはや堪能させてもらった。書き方も然り、作風というか発送も然り、やはり面白い。



                    

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